「それをして、何の役に立つのですか」
誰かに言われたわけではなくても、自分自身へそう問いかけてしまうことはありませんか。
本を読むなら、仕事に生かせるものを。
何かを始めるなら、将来につながることを。
時間を使うなら、目に見える成果が残ることを。
目的を持つことは大切です。
けれど、すべての時間に成果を求めていると、「ただ好きだから」という気持ちの行き場がなくなってしまいます。
人生には、何かを達成するための時間だけでなく、その時間自体を味わう喜びがあってよいのです。
①「役に立つか」の前に「心が動くか」を尋ねる
書店で、普段は読まない分野の本が気になる。
街角で流れている音楽に、思わず足を止める。
美しい器を見て、自分でも何かをつくってみたくなる。
その小さな反応を、すぐに実用性で判断しないでください。
「なぜか気になる」
最初の理由は、それだけでも十分です。
興味を持ったからといって、仕事にする必要も、得意分野に育てる必要もありません。
まずは、自分の心が動いたことを大切にしてみましょう。
②上手になる前から楽しんでよい
絵を描きたいけれど、上手ではない。
歌ってみたいけれど、人に聴かせられるほどではない。
新しいことに興味があっても、技術がないことを理由に諦めてしまう場合があります。
しかし、楽しむために合格点を取る必要はありません。
思ったような線が描けなくても、色を重ねる時間を楽しむことはできます。
途中で音を間違えても、好きな曲を奏でる喜びはあります。
上達を目指す楽しさもあれば、今できる範囲で味わう楽しさもあります。
どちらを選んでもよいのです。
③誰にも見せない楽しみを持つ
何かを体験すると、写真に撮って投稿したくなる。
つくったものを、誰かに評価してもらいたくなる。
共有する喜びはあります。
一方で、見せることを意識しすぎると、自分が楽しめたかより、どう見られるかが気になってしまいます。
誰にも見せない落書き。
投稿しない散歩の風景。
感想を書かずに味わう一冊。
そんな楽しみがあっても構いません。
記録にも評価にも残らなくても、その時間を味わったことまで消えるわけではありません。
④好きなことを義務に変えない
楽しくて始めたことが、いつの間にか「毎日やらなければならない」に変わることがあります。
続けることが目標になり、休むと罪悪感を覚える。
以前ほど楽しめないのに、ここまで続けたからと無理をする。
そんなときは、関わり方を変えてみましょう。
頻度を減らす。
目標を外す。
しばらく休む。
好きなこととの距離は、固定しなくてもよいのです。
続けるために楽しさを犠牲にするのではなく、楽しめる関わり方を選んでみてください。
⑤小さな喜びを先延ばしにしない
仕事が落ち着いたら。
目標を達成したら。
もっと余裕ができたら。
そう考えていると、楽しむ時間がいつも未来へ送られてしまいます。
大きな旅行や特別な買い物でなくても構いません。
好きな音楽を一曲、最後まで聴く。
気になっていた道を少し歩く。
お気に入りの器でお茶を飲む。
今の暮らしの中にも、無理のない範囲で選べる喜びがあります。
楽しみは、すべてを終えた人だけに与えられるご褒美ではありません。
日々を生きる中にあってよいものです。
楽しむことの価値を、仕事の成果や成長だけで説明しなくてもよいのです。
結果として何かに役立つことはあるでしょう。
けれど、役立たなければ無意味だったということにはなりません。
美しいものを見て、心が動いた。
好きなことに触れて、夢中になった。
何でもない時間を、心地よく過ごせた。
それ自体が、人生で受け取ることのできる豊かさです。
今日、「役に立つかどうか」を少し脇へ置いて、気になることに触れてみてください。
楽しむことに、成果という理由はいりません。
「この時間が好きだ」
その気持ちを、自分に許してあげてください。
あなたの日常に、評価や達成とは別の、小さく確かな喜びが増えていくことを心から願っています。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
いつも読んでくださる皆様に、心から感謝いたします。
森﨑康太
【LFA ラーニングフォーミュラアカデミー】
『永遠の学びをあなたと共に』