誰かが悩みを話してくれたとき、何か役に立つことを言わなければと考える。
会話が途切れると、急いで次の話題を探す。
相手の話を聞きながら、頭の中では自分の返事を準備している。
そのような経験はないでしょうか。
力になりたいという気持ちは、大切です。
けれど、相手が求めているのは、すぐに答えをもらうこととは限りません。
まだ整理できていない気持ちを、途中で遮られずに話したい。
自分に何が起きているのか、言葉にしながら確かめたい。
そんなときに必要なのは、上手な助言よりも、安心して話せる余地なのかもしれません。
①返事を考える前に、最後まで聴く
相手が話している途中で、「つまり、こういうことでしょう」と結論を先取りしていませんか。
似た経験があるほど、話の行き先が分かったように感じることがあります。
しかし、同じ出来事でも、その人が何に傷つき、何を大切にしているかは異なります。
まずは最後まで聴いてみましょう。
自分が言いたかったことを少し待たせるだけで、相手の話の続きを受け取ることができます。
②分かったつもりにならず、確かめる
「忙しかった」という言葉の奥には、さまざまな気持ちがあります。
仕事を終えた充実感なのか。
誰にも助けてもらえなかった寂しさなのか。
期待に応えられなかった悔しさなのか。
言葉だけで決めつけず、穏やかに尋ねてみてください。
「その中で、特に大変だったのはどんなことですか」
そして、自分が受け取ったことを確かめます。
「仕事の量だけでなく、一人で抱えていたことがつらかったのですね」
違っていたら、教えてもらえばよいのです。
理解は、一度で当てるものではありません。
相手と確かめ合いながら、少しずつ深めていくものです。
③自分の経験で話を上書きしない
「私にも同じことがあってね」
共感を伝えようとして、自分の話を始めることがあります。
経験を分かち合うことで、相手が安心する場面もあるでしょう。
ただ、気づけば自分ばかりが話し、相手の話が途中のままになっていることもあります。
自分の経験を伝える前に、一度立ち止まってみてください。
今、その話は相手のためになるだろうか。
それとも、自分が話したくなっているだけだろうか。
会話の主役を奪わず、相手が話したかったことへ戻る。
それも、思いやりの一つです。
④沈黙を急いで埋めない
話が止まったからといって、会話が失敗したわけではありません。
相手は、次の言葉を探しているのかもしれません。
話してよいか迷っているのかもしれません。
少し待つことも、聴くことの一部です。
「急がなくて大丈夫です」
必要であれば、そう伝えてみましょう。
もちろん、話したくないことまで聞き出す必要はありません。
話す自由だけでなく、話さない自由も尊重する。
その余地があることで、会話は無理のないものになります。
⑤助言が必要かを尋ねる
話を聴いた後、すぐに解決策を示す前に、確認してみてください。
「今は話を聴いてほしいですか。それとも、一緒に方法を考えましょうか」
相手が望む関わり方は、そのときによって変わります。
聴いてもらいたい日もあれば、具体的な意見がほしい日もあります。
こちらの善意だけで決めずに、相手へ尋ねる。
それによって、助言も届きやすくなります。
聴くことは、相手の意見すべてに賛成することではありません。
問題を代わりに解決することでもありません。
「私は、あなたの話を雑に扱わない」
その姿勢を、時間の使い方や言葉の返し方で示すことです。
今日、誰かと話すとき、結論を一つ急がずに待ってみてください。
そして、自分が言いたいことよりも、相手がまだ言い終えていないことへ耳を傾けてみましょう。
聴くとは、相手の言葉に居場所をつくることです。
その場所で初めて、言葉になっていなかった思いが、少しずつ形になることがあります。
あなたの静かな関心が、大切な人にとって、安心して話せる時間になることを心から願っています。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
いつも読んでくださる皆様に、心から感謝いたします。
森﨑康太
【LFA ラーニングフォーミュラアカデミー】
『永遠の学びをあなたと共に』